ジ-ノ出会い編

好きな周子は野良野良にも実は餌付けをしていた。ベランダにゴミを出しているせいか、野良野良達が匂いを嗅ぎ付けてやってくるのだ。
勿論野良といえども可愛い。やってくれば、うちの猫達の残りをあげたりしていた。次第に野良野良の数は膨れ上がり、一度猫の大軍にベランダが荒らされたことがあった。
それはそれは恐ろしい数だった。
近所のことも考えて、それ以来あまり餌付けをしなくなっていた。
ところがそれでもやってくる野良野良がいた。
野良野良はかぎじまの可愛い猫だった。
丁度去年の今頃からよく出没するようになっていた。
それがジ-ノちゃんだった。
当時まだ名前のなかったのジ-ノは、周子から野良野良と呼ばれていた。
まだうまれて三ヶ月くらいしかたってないと見えた野良野良は小さな体でぴょんぴょんと飛び回り、周子宅のベランダにあらわれた。猫の大軍に襲われたとはいえ、周子はあまりこりていなかった。
早速野良野良に餌付け開始。
でも、野良野良は周子の姿が見えるとすぐに三メ-トルも離れてしまう。
そして周子が部屋の中に入るとまたベランダをうろうろをする。
そこで周子は、えさをベランダに置き、自分は部屋の中に入るという行動をとった。
周子の姿が見えなくなると、野良野良はダッシュで戻って来て、えさを食べはじめてた。これが周子の餌付け作戦だった

里親デビュ-編


野良野良がうちにやってくるようになってから三ヶ月。
暑かった夏の過ぎて、そろそろ季節が冬に向かっていこうとしていた。
野良野良は相変わらず、周子宅のベランダにやってきては、御飯を食べてどこかに去っていく。
冷たい風が吹くと、野良野良はどこにいるのかなあ、寒くないかなあと思い、雨が降るとどこで雨宿りしてるのかなあ、と周子は日に日に野良野良のことが不安でたまらなくなってきた。 しかしうちにはすでに三匹の猫がいついている。
うちではこれ以上猫を飼うことは出来ない。
誰か野良野良を家猫として、育ててくれる人はいないだろうか。
ある日、周子はぼんやりそんなことを思った。
誰でもいい、野良野良を飼って欲しい。
ただ漠然とそう思いながら、友達に電話をかけてみた。
「あんた、もう一匹猫飼わない?」
なんともアバウトな言い方ではあったが、なんと友達は即答してくれた。
「いいよ、飼っても」
こうして野良野良は家猫として生きることが約束されたのだ。
それは周子にとっても、初めての里親デビュ-だったのだ。

初めての里親デビュ-。
周子はそのことでうかれまくっていた。
野良野良がやってくるのを心待ちにして、えさを片手にずっと待っていた。
夜の9時頃、野良野良がいつものように登場した。
今がチャンス。
もはや周子に警戒心のない野良野良はあっという間に周子の手中におちた。
急いでお風呂にいれて、綺麗にシャンプ-をし、パスケットの仲に放り込んだ。
後は友達宅に届けるだけ。
周子はそう思っていた。
ところがここに思わぬ落とし穴が!!
普通野良猫を里子に出す場合、必ず獣医さんの検診を受け、血液検査をしなければならないのだ。
そのことがすっぱりと頭から抜けていた周子は、野良野良をつれて、友達宅に急いだのである。
けれど後にこの失態が思わぬ結果を招くことになったのだ。

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